焙煎の考え方・・・2 |
コーヒー豆が弾けるのはどういう現象でしょう。コーヒー豆に一定の時間熱を与えていくと、(1)最初は熱を吸収し次に表面から徐々に水分を消失しながら、収縮を始めます。私は予備焙煎と呼んでいます。ここで適切な火加減と時間と設定温度を探し出す事がポイントで、その後の味創りに大きな影響を及ぼします。(2)程良く水分が抜けると一度収縮した繊維組織の化学反応が活発になり徐々に膨張を始め、ピークを迎えて弾けが始まると私は考えています。(1)で適切な火加減と時間と設定温度であればパチパチと柔らかい音で弾けます。決してバチバチと勢い良く弾ける事が良いのでは無いのです。コーヒーの生豆は粒の大きさ、堅さ、厚み、熟成度、水分率など微妙に違ったものが混在しており、それらを適切に弾かせるための最適な火加減と時間と設定温度を探し出す事が大切となります。
(1)(2)において適切な火加減と時間と設定温度を探し出すにはどうすれば良いでしょう。焙煎機の種類、投入する量によって全く違い,同じ機械でも弾ける温度は投入する量によって10度程変わってしまいます。したがって焙煎を重ねながら探していかなければなりません。焙煎する度にその過程で香り、音、見た目、温度、温度上昇率を脳みそに焼き付けることを繰り返して行くことで、焙煎のカンが研ぎ澄まされ的確な焙煎を修得出来るようになります。カンとは数多くのデータや経験の集積によって生まれると思います。また温度上昇率の把握は大変重要で私の場合は焙煎の最初から最後まで、常に心に秒針を刻みながらチェックしています。各ポイントで1度上がるのに何秒掛けるのか、1分で何度上げるのかを決め火加減の微妙な調節を行います。出来れば毎回焙煎グラフに出来るだけ詳しく書いて何回も見直し次の焙煎に役立てるようにすれば、早く上達します。私も10年以上やっていました。同じコーヒー豆を焙煎しても人によって全く違った味になるのは、各ポイントでの設定の違いによる物で、そこが焙煎の怖さであり、奥深く楽しい部分でもあります。ここではダンパーに付いて触れていませんが、その説明は又次の機会に致します。