コーヒー生豆は生きている。 |
今回は私の知ってる範囲内ですが、ご説明いたします。
エージング【aging】の意味は、【加齢】生物が成長・分化・形態の形成などの後に必ず受ける,時間経過に伴う衰退の過程。【熟成】 物質を適当な温度下で長時間放置し,ゆっくりと化学変化を行わせたり,生成するコロイド粒子の大きさを調整したりすること。
農作物の観点から見ればコーヒー生豆はコーヒーの木に実るコーヒーの果実の中にある種子です。穀物であるお米や大豆に近い物質と考えられます。
農業支援の専門家の友人の言葉を借りると、一般的にお米の場合はまず収穫後脱穀ののち適切な水分まで乾燥させます。この乾燥のプロセスが重要で、うまく適切な水分率まで乾燥させることが味の良否に関わってきます。乾燥が適切であれば適切な保存をすることで一年たっても美味しさをあまり損ねません。昔は収穫後天日干しをしていたのでもっと美味しかったそうですが、精米技術の不備や水分率にムラがあったり保存状態が良くない場合は乾燥が進み、だんだん美味しさが損ねられるケースがあったということです。穀物や果実は自らガスを発生しておりそのガスによりエージング【熟成】が促進されます。エージング【熟成】が進みすぎると腐敗【加齢】していき逆効果となります。お米の場合は気温8度での保存が望ましいとされています。穀物においては低温で程良いエージング【熟成】が必要なのです。
コーヒー生豆の場合はちょっと複雑になります。収穫から乾燥までは後で述べるとして、その後袋詰めされた後の保存状態が問題です。農園での保存状態、港での保存状態、船で運ぶ場合は船での保存状態、日本に陸揚げしてら、各店への出荷までの保存状態、お店での焙煎までの保存状態。これらすべてに気温8度での保存が望しいのですが現状の流通においては、まず不可能です。可能と考えられるのは、直接農家と契約し標高の高い風通し良い場所にこちらから出資して貯蔵庫を建て、そこに保存する。出荷は航空便を使う。そうすれば薫蒸処理(防疫の為殺虫剤を噴霧する事。)をしなくても済むかもしれません。その後天然の冷蔵庫である軽井沢の貯蔵庫にすべて出荷し保存する。そうすれば品質の劣化は限りなく防げ適切なエージング【熟成】が出来ると思います。ほしい方は月に1〜2回の注文であれば問題ないでしょう。
・・・すべては出来ないかもしれませんが可能な限り挑戦してみます。
エージングの間違った認識。
よく3年エージングしましたとか5年エージングしましたとか聞きます。
昔は特に乾燥状態や精製方法にばらつきが多く,乾燥が甘い場合多少エージングする方が良い場合もありました。水分が多く酸味や渋みが強いコーヒーなどには確かに有効でした。現在もハワイコナはもともとかなりの強い酸味があるので数年エージングしてオールドコナと言う名で販売されています。私に言わせればそういうエージングしなければならない豆を使う事自体不可解です。10年ほど前にすべてのコーヒーを2年間エージングして焙煎をしてみました。ものによっては強い酸味が治まり柔らかな酸味となる。よく乾燥しているので確かに焙煎しやすいが、しかし香りも少なくなり、旨味も薄れ、味も軽くなり舌にざらつきが出る。完熟した物などやその他物によっては1年で傷みが進行してしまいます。また12月になり新物が入ったときも問題なのです。新物はエージング不十分な場合が多く、物によっては堅くしまって煎りにくく青臭ささが残りますのでしばらくエージングする必要があります。