焙煎は限りなく難しい! |
ここ最近お弟子さん達は、この前完璧な焙煎が出来たのに同じように焙煎しても最近上手く行かないと言う。
そうなんです。
それが焙煎の難しくて、恐くて、面白いところなんです。
ほんのチョットの、気温・湿度・気圧・ガス圧で釜温度・豆温度・排気温度・ダンパー・生豆の状態が変化してしまいます。データ通りにやっても同じ様な焙煎は出来ないのです。焙煎機を別の場所に移動したときも同じです。
私は、引っ越すたびに焙煎のイメージが変わり、それを取り戻すのに何ヶ月も掛かっていました。
たぶん焙煎している殆どの人はその意味が分からないと思いますが。
彼らは、そこに気づきました。
一歩前進したわけです。
実はここからが険しい道のりなのです。
豆との対話が出来るようにならなければなりません。
焙煎中に幾度と無く豆を観察して、常に状況を判断して今どうすべきかを考えなければ成りません。釜の中でお豆さんがどう変化しているのか想像しながら、耳をすまして声を聞き、嗅覚・視覚を集中して行うのです。たった数秒のタイミングの違い、ほんの少しのガス圧の調整加減で味が変わるのです。
上手くできた時は、データよりその時の状況の変化を記憶することがより大切になります。
そして豆との対話が出来るようになれば、今時の言葉で言う「ヘブン」を体験できるのです。
自家焙煎はある意味フレンチ料理より難しいのです。
生半可な気持ちで始めるのは危険ですよ。
今から始めようと思っている人は、よほどの覚悟が無いとやめた方がいいですよ。